茶碗蒸しの中 de 書評ぶろぐ

病気をきっかけに2年ほど主夫をしてました。 好きなマンガ、小説や主夫業についてツラツラ書きたいです、ほへ。

元ゲームプランナーが考える なぜフォートナイトが流行っているか? 

f:id:kusatu93:20180614101727p:plain

 

皆さん、今日もタワーに降りて初動の武器調達で負けていますか?

 さて、pubgの牙城を崩しにかかっているフォートナイトですが、どうしてこんなにも流行っているのか?

それはフォートナイトが既存の対戦ゲームの良いところブレンドしたハイブリッドなゲームだからです。

今回はフォートナイトを「ゲームメカニクスの観点」から考えてみたいと思います。

(わーわーわー、ぱちぱち)

さて、フォートナイトは「バトルロワイヤル」というゲームジャンルに属します。

簡単に言えば、「自分以外の全員が敵」で、「最後まで残っていたユーザーが勝利」という単純なルールです。このルールがどのようなゲームを経て出来上がっていったかを振り返りつつ、フォートナイトのメカニクスに迫りたいと思います。(熱盛りぃ!)

 

■フォートナイトのルーツ

フォートナイト= バトルロワイヤルの直接のルーツはdayzなどのmod発祥のサバイバルゲームと自分は考えています。

↓これは2012年の4亀の記事です。

正確にいえば、DAYZはマルチプレイのPVPとしては不完全なゲームでした。明確なゴールやゲームの展開をインフレーションさせるメカニクスが存在せず、ユーザーは広大なフィールドに投げ出される中で楽しさを自分達で見つける、そういったゲームでした。

その後、建築要素を入れた「RUST」やクラフトや時間の概念を取り入れた「7days to die」などが中小のパブリッシャーからでましたが、ここまでは「サバイバルシューター」というカテゴリーでした。

しかし、「武器をフィールドで調達する」「キャラクターの基礎パラメータに差はない」というバトルロワイヤルに引き継がれる基本要素は備わっていました。

その後、「DAYZ」のアッパーverともいうべき「H1Z1」がリリースされます。

そしてこの「H1Z1」も元々は「サバイバルシューター」だったのですが、別モードとして「バトルロワイヤル」を追加します。そしてここで、バトルロワイヤルに不可欠な要素、「行動範囲が狭まっていく」が追加されます。

 

■フォートナイトを構成する要素

先ほどバトルロワイヤルで必要な要素として3つのことをあげました。

それぞれ、こういう風に言い換えることができます。

キャラクターの基礎パラメータに差はない⇒公平性

武器をフィールドで調達する⇒即興性

行動範囲が狭まっていく⇒インフレーション

 

そしてこれに以下の要素を足したのが、フォートナイトです。

建築要素⇒計画性

別プラットフォームでのマッチング⇒多様性

 

■公平性について

少し細かくなりますが、公平性について書きたいと思います。

多くのゲームはメカニクスの中に装備やスキルなど自分のキャラクターをカスタマイズさせる要素を入れます。これによってユーザーは自分が育てたキャラクターという「資産」を持つことになり、そのゲームに定着しやすくなります。

そしてゲーム会社はユーザーからお金を集めるため、この部分を課金要素にしたいと考えます。PVE(モンハンなどCPUと戦うゲーム)はそれでかまわないのですが、PVP(対人ゲーム)でそれを行うと先にゲームをプレイしていたユーザー、またはお金をかけたユーザーが有利になり、後発または無課金のユーザーは不利になります。

この形式を「お金を払っている人は有利になるのは当たり前」と考えていると嫌気を感じたユーザーが離れていき、肝心のゲームに必要なユーザ数が確保できなくなります。

そこでフォートナイトなどのバトルロイヤルはゲーム開始時のキャラクター性能を同一にするというルールで「公平性」を担保し、多くのユーザーを囲いこむことに成功したのです。

もちろん「フォートナイト」も事前の知識、訓練をしているユーザーが有利ですが、それは次に説明する「運の要素」である程度相殺されます。

■運の要素について

まず人がゲームをやめる理由は大きく分けて「負け」と「飽き」の2つがあります。

このゲームをやり切った、自分はもう極めたから止めるという人はPVPではほとんどいないと思います。多くの人は自分のスキルに天井を感じ、これ以上プレイが上手くなるのは無理だと判断して止めていきます。そしてこの天井は「負け」たとき、それもある程度自分に知識があり、相応のプレイスキルがあると思っていたにも関わらず結果がでないときに出現します。

「負け」方にも2種類あります。自分のせいで負けることと、ゲームシステムのせいで負けるときです。

フォートナイトで負けたときの感情を例にあげるとこうなります。

「相手はエピック武器を持っていた。同じスキルだったががなかった」

「自分はシールドを不運にも持っていなかった。負けて当然だ」

大事なのは負けたときの理由の一つに、「運」のせいにできることです。

これのおかげで本来は負けてひどく気分を害するはずが、自分のプレイは実は悪くないと思うことができ、更に言えば「運」がよければ次は自分が勝つことができるかもと期待するのです。

運の要素によって、「負け」た時のネガティブな感情を軽減することでフォートナイトはゲームのリプレイ性を上げています。

また説明するまでもないですが、「武器の取得」と運の要素を取り入れることで、毎回違ったプレイを行うことになりユーザーを「飽き」から遠ざけることに成功しています。

 

■インフレーションについて

ゲームがインフレーションしていく、というのは簡単にいえば場が荒れていくことです。フォートナイトをドラクエでたとえると開始直後はメラの打ち合いですが、ゲームの最後になるとメラゾーマ、ベギラゴン、ライディーンの打ち合いになります。戦闘は派手になっていきますし、ユーザーにとっては序盤、中盤、終盤をどう戦っていくのか計画を立てられるということになります。また、インフレーションが起こることによって不利な状況であっても逆転の可能性が広がることにも繋がります。とにかく戦闘の派手さがスケールしていく、これがフォートナイトで脳が「楽しい」と感じる大きな要素なのです。

フォートナイトは行動範囲を狭めることで、フィールドに散らばっているユーザーを集め戦闘をが起こりやすくます。戦闘が起こりやすいということは倒した敵から武器を奪うシチュエーションも多くなり、必然的に最後に残ったユーザーの武器は強力なものが揃っていきます。こうして、最後の決着がつくときは派手な戦闘が繰り広げられるのです。

 

■計画性について

ゲームプレイは「飽き」との戦いです。「飽き」は同じことの繰り返しによって徐々に蓄積され、一定のしきい値を超えるとユーザーはゲームから離れます。

フォートナイトは即興性=運の要素を多くメカニクスに組み込むことで、「飽き」を遠ざけようとしています。しかし、あまりにも運の要素が高すぎると、負けた際に理不尽に感じ、また勝った際も素直に喜べなくなります。

そこで、フォートナイトが取り入れたのが、「建築」による計画性です。

すべてのゲームの根幹となる要素は「予測」「計画」「実行」です。人は自分が計画したことが成功することに強い快感を得ます。通常のバトルロワイヤルでは敵を発見するためには、実際に視認するか、ちらばっているアイテム、または音で判断します。いずれもある程度の距離がないとわからず、ユーザーは場当たり的な対応が多くなります。

 フォートナイトでは建築の要素を入れることにより、敵がどこにいるか視認しやすくなり、次にどういう行動をとればいいか、計画しやすくなります。

また、「バトルロワイヤル」に起こりやすい敵に遭遇しない「空白時間」を素材を集めて、のちの建築に生かすという「計画」も立てることができます。

こうすることで、実際に敵と遭遇していない時でも、次のステップに何をするか、他社の建築の痕跡があった場合どう動くか考えることで、ゲーム中のテンションを保つことに成功しているのです。

 

■多様性について

多様性については様々な語り口があると考えています。

まず、プラットフォーム。今フォートナイトはPC,PS4,Xbox,switch、スマホとマルチプラットフォーム展開をし、さらにPS4以外ではプラットフォーム外でマッチングも!できるようになっています。

もちろんPVPというゲームを考えれば、人が多くないとゲームは成立しません。

しかし、なぜユーザーはこれを許容できるのでしょうか(PCとスマホではデバイスの差で勝負になりません。もちろん、同一プラットフォームマッチングをユーザーが選択することはできます)

一つは先ほど、運の項目であげた通り、負けてもいいわけの逃げ道がある、ということと、そしてもう一つはゲームの速度。つまり死んだら、ストレスを感じる前に次のゲーム次のゲームと転々とできる(WOTもそうでしたね)ことが、マルチプラットフォームマッチング(長い)を可能にしているのではないでしょうか?

もうひとつはワールドワイドで展開する上でのカルチャライズ。

フォートは新規で入ると確かアジア人のキャラなんですよね。ユーザー人口考えると当然だけど、昔には考えられなかった。まエピックの親会社テンセントだから当然ともいえますが。。。こういうところも良き多様性のあり方だと思います。

 

さて、いろいろ書きましたが、フォートナイトを要約すると

早く遊べて、すぐ盛り上がり、さっさと終われる。時間がなくてもゲームの面白さを体験できる。今の時代にあったゲームだと思います。

ものごっついMMOやりたいけど、そんな時代じゃないよね(涙)

えーと、全然書評ブログじゃなかったので、

次は「イタロカルビーノのアメリカ講義とフォートナイト」書きます

アデュー

 

カルヴィーノ アメリカ講義――新たな千年紀のための六つのメモ (岩波文庫)

カルヴィーノ アメリカ講義――新たな千年紀のための六つのメモ (岩波文庫)

 
遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継

遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継

 

↑ゲームプランナーは読んどけよ

 

あ、コメントは無くて大丈夫なのでB!マークだけ押してもらえるとすっごく嬉しいです。