茶碗蒸しの中 de 書評ぶろぐ

病気をきっかけに2年ほど主夫をしてました。 好きなマンガ、小説や主夫業についてツラツラ書きたいです、ほへ。

週刊 バベルの図書館を読む 創刊号「チェスタトン」

f:id:kusatu93:20180531211433p:plain

えー、なんだか梅雨めいてまいりましたな。こういう季節になると読みたくなるのが、ぁー「バベルの図書館」、ね。みなさんも、もう読んでおりますでしょうか。

先日、うちのかかァがバベルの図書館を読みたい、読みたいとしきりに言うんで、そんなに読みたいなら、読めばいいじゃねえかオイって言ってやったんですよ。するとかかぁがそんな長い業書、読む時間なんかありゃしないよって、まあそういうんですね。そうなると好きで一緒になったオンナですから、気の毒になっちゃって、そんならオイラが読んでやるよってつい口からポロっとでちまった。しまった、と思ったときにはもうあとの祭りってやつで、積まれた本を見て青くなってたんですが、エイッこちとら極東アジアっ子でいってなもんで、着る者も着ずディアゴースティーニへ行って、書面を交わしてですね、こうして「週刊バベルの図書館を読む」を始めることになったという訳でございます。

まあ、一冊200pくらいの短編業書ですから、なんとかなるかなとは思うのですが、7巻の「ミクロメガス」なんかは分厚いですし、23巻の「ヴァテック」なんかは上下巻に分かれているのでね、さあどうなるかってところなんですが、まあ、一つ、皆様には読者になっていただいて、ね。応援していただければと思うところでございます。 

 

アポロンの眼 (バベルの図書館 1)

アポロンの眼 (バベルの図書館 1)

  • 作者: ギルバ−ト・キ−ス・チェスタトン,ホルヘ・ルイス・ボルヘス,富士川義之
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 単行本
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログ (4件) を見る
 

さて、記念すべき1巻目は「チェスタトン」。最近、色んなところから出てますよねブラウン神父。版権でも切れたのでしょうか。

ぁーこのチェスタトンなる方は1928年に推理作家クラブが設立されたときに満場一致で会長に選出された、まあ、その時代を代表する作家でございました。神父を探偵にするくらいですから、自身も熱心なカトリック教徒だったそうです。え?ああそう耶蘇ですね。耶蘇教。ま、そういったところはボルヘスの旦那が書いた序文に書いてあるので、まあよしとしてさて内容は5つの短編。真ん中の3編をブラウン神父。最初と最後は別の短編で構成されてますね。いやー、おもしろい構成だね、こりゃ

 

①三人の黙示録の騎士

黙示録って書いてあったんでね、ちょっと身構えちまったけど、まあ首なし騎士が出てくるわけではないので、ご安心を。合理的なことを重ねていくと不合理が起こるっていう寓話めいたお話でね。中心となる話自体も面白いですが、オイラがうーん、とうなっちまったのが語りの構造ね。この短編にはまず「ぼく」がいるのね、でその「ぼく」が昔こんな奇妙な人がいたなあって回想してるわけ、それが「ポンド氏」なる人物よ。でこの「ポンド氏」の描写がいいんだなあ。引用させていただくとね、

ポンド氏の中にも怪物がいるのをわたしは知っている。その怪物は心の奥底からほんの一瞬のみ水面に浮かび上がり、ふたたび沈み込んでしまう。

はえー、なんだか妙なやつですね。しかもポンド氏は魚のような顔をしたって描写もあるんで、これはインスマス出身なんじゃねえか、ということはク・リトル・リトあ、いけね、この件はご隠居に内緒だって言われてるんだ、どうもラブクラフト脳はなんでもあれと結びつけようとして、まあ悪い癖だね。

まあ、とにかくその妙なポンド氏が語るのが『三人の黙示録の騎士」ってわけよ。こういう構造はなんていうのかね、オイラは学がねえからわからないけども、こうすることで本題の文章に対してポンド氏の奇妙さがコーティングされるっていうのかな、物語のレイヤーが…まあいいか、とにかくこういう三段構えで語ることで、いきなり主題に入るより引き込まれやすいんだな。半七捕り物長も女の子が老人にせがんで語らせるってとこがあのシリーズのキモだと思ってるんだ。

全体を通すと寺子屋の紀田潤一郎先生が編んだ「謎の物語り」に載ってもおかしくない(まあ解決してるからあれなんだけど)作品だから、そういうのが好きな人は面白いんじゃないかな。

 

②奇妙な足音

んー正直言うとおいらはミステリーはあまり読んでいないんだよね。だからなんでこの作品が選ばれているか良くわからないだけど、「足音」だけで推理して謎を解くってやり方が他にはないところなのかなあ。ただ、こいつはいいやと思ったのが登場するエリートクラブの名前が「12人の本物の漁師」ってんで。あ、こいつはいかすな、と思いましたね。更に舞台になる「ヴァーノンホテル」の描写も面白い。

小さなホテルで、おまけにひどく不便なホテルだった。しかし、まさにこの不便さこそが、ある特別な階級を保護する城壁として考えられたのである。

なるほどねえ、ほんとうに金持っているやつらはキンキラなところは行かねえってことなんだな。

あと気に入ったのは最後の一文だな。最後の一文がスパッと美しい小説がいい小説だと思うよ。

神父は湿った暗い街路を活発な歩調で歩いて、安いバスを探しにいった。

謎を華麗に解いて、暗がりに消えていく、しかも清貧っていうのがね、ヒーローっぽいんだよなあ。

 

③イズレイウ・ガウの名誉

 えっと、さっきのところを書いてから中断してたんで、もう口調が変わりますが、これはゴシック小説です。なぜなら舞台が古城だから。あとブラウン神父でおなじみ(かどうかは知りませんが)親友の素人探偵フランボウが出てきます。アレ?ガンダムと思ったあなた。もしかしたら元ネタがこれかもしれませんよ!この説を押し通して仲間のガノタに差をつけろ!城の名前は「グレンガイル城」(おー)最後の城主は失踪し、今は耳の遠い召使だけが住んでいます。だけど誰も失踪した城主の行方しらないし、召使はなんか料理つくって運んだりしてるようだし、まだ城にいるんじゃねっていうのが周囲のうわさ(うーん、ゴシック)

でこの召使がいなくなった城主を棺桶にいれただっていうもんで神父としてブラウンが見に来たってとが事の発端なのよね。

 神父とフラウボウが顔を合わせるシーン、意外としゃれた会話しますね。

「ここは地質学博物館みたいですな」

「地質学博物館なんかじゃありませんよ」とフランボウ。

「心理学博物館(サイコロジカルミュージアム)といったところでしょう」

サイコロジカルミュージアム!70年代SFに出てきそうな名前!(ニーブンとか?

話が進むと悪魔崇拝やらサタニストといった言葉まで出てきて、中々緊張感でてきます。

最後は割りとスッと終わるんですけどね、雰囲気はさすがボルヘスが選んだだけあるなあといったところ。

 

④アポロンの眼

表題作ですね。でも一番つまんない。コロンボ的。

まーアンチ神秘主義なのかな、これ。。。

ア違うなアンチ新興宗教小説だわこれ。

 

⑤イルシュ博士の決闘

あー、これあれの元ネタじゃんで有名な一編。

始めに提示された謎がぶっ壊れて、最後にでてくるには不気味な人間の業ですね。

うーん、まあこれも、そんなに言うことない。

でもアレの元ネタですから(たぶん)怪奇小説好きを装うなら読んでおきたい一編

 

 

風邪引いているのでこの辺で。

来週の次号は「サキ 無口になったアン夫人」です。乞うご期待!

 

え、まいど馬鹿馬鹿しい話をさせていただいてますが、

ぜひですねB!マーク、もしくはコメントなんてねいただけると来号でるんじゃないかなーみたいな。どうかよろしく!!!

 

ま、ブラウン神父読むなら創元文庫で読むのが一番いいと思うけどね...

ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)

ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)

 
ポンド氏の逆説【新訳版】 (創元推理文庫)

ポンド氏の逆説【新訳版】 (創元推理文庫)

 
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)