茶碗蒸しの中 de 書評ぶろぐ

病気をきっかけに2年ほど主夫をしてました。 好きなマンガ、小説や主夫業についてツラツラ書きたいです、ほへ。

通勤の途中で読めるSF 星新一「解放の時代」とKOHHの「毎日だな」

わたしはひとつ第七官界にひびくブログをかいてやりましょう

長編小説は無理でも、短編ならできるのではないか。

それもできれば短ければ短いほうがいい。わずかなページ数であれば自分のような素人でも書評のようなものが書けるだろう。

そいう訳で一回目は、ショートショートの星新一。なんと9ページの傑作。

(赤字部分は引用です)

筒井康孝選 60年代SFベスト集成

星新一 「解放の時代」

60年代日本SFベスト集成 (ちくま文庫)

 冒頭でまずギョッとすると思う。

覚醒剤を含んだ霧が鼻のあたりをただよってきて、俺は目を覚ました。

あれ?筒井康孝と間違えたかな?と思って題名をみても確かに星新一である。

発表が60年だから星さんもまだ若くて血気盛んだったのかしらんとも思う。

でもご安心を、これは目覚まし用の覚醒「剤」であって、いわいる麻薬のようなものではない。ただ、目覚ましのために薬吹きかけるってやはり星ワールドはちょっと危ない。

で、主人公の男は起きたはよいけれど、今日は遅番だったことを思い出し損をしたような気分になる、このあたりは星の作品でよくあるケダルイ朝の描写だ。

しかし、その後でまたギョっとする。7行目あたりである。

そばで女房が眠っている。俺は女房とセックスをした。

あ、あれ星作品でおセックスなんて単語出てきたことあったかしら?おーい、でてこいにも出てこないですよね、たぶん。はー星さんも若かったんだなあと思う。

その後女房が子供がほしいけど、今では無理だからはやく昇給しろとぐちぐち言っている。ここら辺が1P目。

そして2Pに入ると男は出勤のため家をでる。その際もやっぱり、

家を出がけに、女房とセックスをした。

あらま。新婚かな?と、まあ思うじゃないですか、でもね。女房とセックスした4行後にですねバスの待合所で老婦人とぶつかるんですが...

あやまっているうちに、おれたちは道端でセックスをすることになった。

どっどっどどどーどっどっどどいうことやねん、ですよ星さん。これ家族に読ませられます?こいつ女だったら誰でもいいんかい?

で、やっと来たバスに乗るわけですよ、そんでねまあ顔見知りの男とね挨拶がてら話すんですけど、そう!

おれたちはつとめ人の悲哀について話あい、ついでにセックスをした。

うほっ。なるほどレインボー系か?星さん、早いなあ時代先取りさすが。

その後、所長の家に行ってその奥さんとセックス、所長が最中に現われて連れていた犬とセックス、その際所長が男に言う言葉が

「きみななかなか犬に詳しいようだね」

なんやねん、それ!ふっざけた小説だな、大体これ、SF?と思うじゃないですか。あのねえ、こっからSFなんです。

その後男は受胎センターにいくんですね。受胎センター。ほうほう。

でやっぱり、受付の女の子とセックスをし、係りの中年男とセックスをし、更にアンドロイドをセックスをするんですね。で、ここからですよ、異様なのは。

このセックスしたアンドロイドは後で男の自宅に赴き、女房とセックスするんです、そこで初めて受胎が行われる。優秀な子供が生まれやすいようアンドロイドが優秀な遺伝子を選出して受精を行うんです。うおーSFFFF!

で、その後葬式にいって、受付の女の子とセックスして、死体とセックスしてちょっと時間ができたからと動物園で5種類くらいの動物とセックスして、品種改良された花とセックスする。そのときの男の感想は、

ちょっと面白い感じだった。

もう、いうことないです。

最後はちょっとブラックというか、アンチヒューマニズな感じでね。小説史上に残る大どんでん返しがありますから、ぜひ読んでみてください。9ページだしね。

話はぶっとんでますが、文体のリズムはとてもいいです。それは何行かに一度でてくる「セックスをした」という言葉が全体のアクセントになっているためです。というかこれはヒップホップです。KOHHの「毎日だな」の毎日だなというフレーズの使い方と一緒です。下のPVでの「毎日だな」を「セックスをした」に変えても成立します(乱暴 )さすが、星新一

www.youtube.com

 この短編もすごいけど、これをアンソロのトップにもってくる筒井さんの力技もすごい。なにげに(当時の)モダンオールドスクールな「ハイウェイ惑星」の後に(当時の)最先端ニューウェーブ鉄SF「X電車で行こう」を載せているのも憎いよねえ。

ところで、書評ってどうやって書くの。。。?

60年代日本SFベスト集成 (ちくま文庫)

60年代日本SFベスト集成 (ちくま文庫)

 
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